わたしの心に火をつけた、ヨガ通訳の仕事(ヨガヒストリー⑨)
はじめて、ヨガを伝えるという役割を意識したのは、ヨガ通訳の仕事がきっかけです。この経験から、ヨガを本格的に学ぶ道がひらかれていきます。
◼︎前回までのお話◼︎
思いがけずメンバーに加わることになった「国際ヨガDAY関西 in 神戸」実行委員会。この経験を通じて、ヨガに関わるひと達との交流がはじまりました。 ヨガはまだ趣味程度だったわたしが、ヨガの大先輩たちと一緒に取り組み、学んだことを綴ってみます。 ◼︎前回までのお話%...
「ゆうきさん、シカゴで、ダーマヨガしてたんだよね?今度、ダーマヨガの先生が来日するんだけど、通訳してみない?」
ある日、ぬんさんからそんなオファーがありました。
香港在住のダーマヨガの先生、ダフネ・ダストがspaceわにでワークショップを開催することになり、通訳はプロじゃなくてOKということで、偶然目の前に居合わせたわたしに、白羽の矢が立ったようです。
そんな大役を引き受けていいのだろうかと、不安がるわたしでしたが、「大丈夫。サポートするから。」という力強い言葉に背中を押され、引き受けることに。
ちょうど国際ヨガDAYの実行委員として、いろんなヨガの先生たちとの交流がはじまった頃で、次は海外のヨガの先生とご縁ができたことに、何か大きな流れを感じとったのかもしれません。その流れに身を任せてみることにしたのです。
■ ヨガ通訳の難しさ
とはいえ!
わたしは、通訳もヨガのリードもしたことはなく、ましてや、通訳付きのヨガクラスに参加したこともなく。ヨガ通訳のイメージすらわかず。
とりあえず、ダフネから、彼女のワークショップの音源を送ってもらい、聴いてみることに。
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・・・・・。
ポーズの名前なのか、哲学用語なのか、サンスクリット語なのか、体の部位の名称なのか、普通の英単語なのか…
チンプンカンプン!
これは、何か手立てを講じなければ!!
まずは、ダフネの言っていることを全て書き起こし、その隣に、日本語訳をつけていきました。そして、わからないことは、調べたり、教えてもらいながら、内容を理解していきました。
次に、ぬんさんに、過去のプロの通訳付きワークショップの音源をもらい、何度も繰り返し、耳に馴染ませていきました。
同時通訳は、間合いも大切です。ヨガの流れを止めず、ニュアンスを崩さない端的な言葉選びや、センスが求められます。考え込む余地はなく、反射神経が必要です。
また、英語と日本語の構成上の違いから、先を予想しながら通訳をする技を、音源から学んでいきました。
プロの凄さに圧倒されながらも、少しでも近づけたらと、料理をしながら、お風呂に入りながら、移動しながら、ずっと音源を聴いていました。
ちなみに、このとき、繰り返し聴いていたのは、後に、わたしの師となるアンドレ・ラム先生のリトリートの音源でした。
いま思うと、アンドレの言葉は、このときから、わたしの身体に深く刻まれていたのだと思います。
■ エネルギーがわたしのからだを通って広がる
そうして迎えた、ダフネのダーマヨガワークショップ。
わたしにとって、参加者の前に座るのも、ヨガをリードするのも初体験で、はじめは緊張しましたが、だんだんと心が安定していきました。
自分を空にして、ダフネに身を委ね、言葉を紡いでいく。
ダーマ先生のエネルギーが、ダフネを通り、わたしを通って、みんなに伝わっていく。
エネルギーが広がっていくのがみえるのです。
それは、とても素晴らしく、心を震わせる体験でした。
ヨガの奥深さに、真に感じ入ったのは、このときが初めてだったかもしれません。
いままで感じてきたヨガの深みや、先生たちがわたしに伝えようとしてくれていたことが、もう一段深い次元で繋がっていきました。
■ はじめて「ヨガを伝える」を意識する
ワークショップのあと、ダフネと感動を共有していると、彼女はわたしにこう言いました。
「ダーマ先生のティーチャートレーニングに行きなさい。ダーマ先生は、79歳(当時)。いつまで現役かわからないよ。チャンスは逃さないで。」
さほどヨガの修練を積んでいないわたしが、ティーチャートレーニングだなんて!
…そう怯むわたしに、ダフネは香港に帰国したあとも、何度もメッセージで、ダーマ先生の元でヨガを学ぶことを勧めてくれました。
シカゴで偶然出逢ったのがダーマヨガで、そこから、次々と広がっていく世界。ダーマ先生との浅からぬ縁を感じ。
「よし!いこう!」と心に決めたのでした。
わたしの心に火をつけてくれた、ダフネ。
通訳という立場で、ヨガの教えをからだに浸透させ、意味を考え、理解し、自らの言葉にかえて、伝えるという経験をさせてくれました。
このときが、はじめて、きちんとヨガを学ぼうと思い、伝えるという役割を意識した瞬間でした。
そんなダフネと仕事ができたことは、わたしにとって本当に幸運なことだったと思います。
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◼︎次のストーリーに続く…